
モルモットのうんちがつまる原因とは?
モルモットのうんちがつまる時の対処法とは?
うんちがつまりやすいモルモットにはどのような餌を与えると良い?
こんなモルモットのうんちがつまる問題についてご紹介いたします。
モルモットのうんちがつまる原因とは?
モルモットの便秘は、単に「食べすぎた」「水を飲まなかった」だけで起きるものではありません。
腸の動きが止まる仕組みや、便が物理的に詰まる仕組みが複雑に絡み合っているのです。
ここでは、その原因を一つひとつ丁寧に紐解いていきます。
食物繊維の質と量の問題
モルモットは草食動物の中でも特に長くて粗い繊維を必要とします。
この長鎖繊維は腸の中で水分を保持しながらゆっくりと進み、腸壁を刺激して蠕動運動を促します。
もし短い繊維や消化されやすい炭水化物ばかりを食べていると、腸の内容物がドロドロの粘土のようになり、前に進む力が失われてしまいます。
特にペレット中心の生活をしている子に多く見られます。
カルシウムと腸の関係
モルモットは尿でカルシウムを排泄する動物です。
食事中のカルシウムが過剰になると、腸の中でカルシウムが便と結合して石のように硬い塊を作ることがあります。
この硬便が直腸に溜まると、普通の便がそのものが押し出せなくなり、詰まりの原因になります。
アルファルファヘイを成獣になっても与え続けているケースでよく起こります。
歯と咀嚼の連鎖反応
モルモットの歯は一生伸び続けます。
奥歯が伸びすぎて不正咬合になると、長い牧草をきちんとすり潰せなくなります。
すると、腸に届く繊維は短く細かくなりすぎ、腸を動かす力が弱まります。
また、噛む動作自体が減少すると、唾液の分泌も減り、全体の消化活動が鈍くなるのです。
歯が原因の便秘は、食欲があるのにうんちが出ないという特徴的な症状を示します。
腸内細菌叢の乱れ
モルモットは盲腸発酵動物です。
盲腸には数百種類の善玉菌が住んでおり、これらが繊維を分解して短鎖脂肪酸を作り、腸のエネルギーにしています。
抗生物質の使用や急な餌の変更、ストレスなどでこの菌のバランスが崩れるとガスが発生しすぎたり、逆に発酵が止まったりして腸の動きが乱れます。
特にクロストリジウム属の菌が増えると毒素が出て、重度のうっ滞を引き起こします。
ホルモンと自律神経の影響
妊娠後期のメスモルモットは、子宮が腸を圧迫して便の通り道を狭くします。
また、出産後のホルモン変化で一時的に腸の動きが落ちることがあります。
去勢していないオスでは、睾丸から出るホルモンが肛門周囲の脂肪を増やし、便の出口を狭くするケースも報告されています。
痛みや恐怖寒さなどのストレスは交感神経を優位にし、腸の血流を減らして動きを止めます。
年齢による腸管の変化
高齢になると腸の筋層が薄くなり、蠕動の力が弱まります。
また、長年の食生活で腸壁に微細な瘢痕ができ、柔軟性が失われることもあります。
さらに骨盤が変形して便の通り道が狭くなる子もいます。
7歳を超えると、ほんの少しのきっかけで詰まりが起きやすくなるのはこのためです。
薬剤性の便秘
痛み止めのオピオイド系薬剤や、抗コリン作用のある薬は腸の動きを直接抑えます。
手術後や歯の治療後に便秘が起きるのは、この影響が大きいです。
また、寄生虫駆除薬の中には一時的に腸内細菌を乱すものもあり、数日後にうっ滞を起こすことがあります。
これらの原因は単独で起こることもあれば、複合的に絡み合って起きることも少なくありません。
どの要素が主犯かを正確に見極めることが、適切な予防や治療への第一歩になります。
モルモットのうんちがつまる時の対処法とは?
うんちが完全に止まってしまったとき、飼い主さんが最初に感じるのは焦りと無力感です。
でも、正しい順番で手を打つべき手は決まっています。
時間との勝負になりますが、冷静に一つずつ進めていきましょう。
まずは状態を正確に把握する
便秘が始まってから何時間経ったかを確認します。
12時間を超えるとガスが急速に溜まり始め、24時間を超えると命に関わります。
触ったときのお腹の張り具合、食欲の有無、姿勢の異常、歯ぎしりの有無をメモしておきます。
自宅で即座にできる応急処置
温めることは最も手軽で効果が高いのは、体温を少し上げることです。
38~39度くらいのお湯をペットボトルに入れ、タオルで二重に巻いてケージの片側に置きます。
モルモットが自分で暖かい場所に行けるようにし、決して直接当てないようにします。
体温が0.5度上がるだけで腸の血流が改善され、動きが戻ることが多いです。
強制的な水分補給次に、脱水を解消します。
給水ボトルが機能しているか確認し、飲まない場合はシリンジで少しずつ口の横から流し込みます。
普通の水では嫌がる子には、ぬるま湯にわずかな蜂蜜を溶かしたものや、野菜のゆで汁を使います。
1回に0.5~1mlをゆっくり、10分おきに繰り返します。
お腹のマッサージ
お腹が張っているときは、指の腹で優しく時計回りに円を描きます。
強く押すのではなく、腸が動くのを助けるイメージです。
特に恥骨のすぐ上、骨盤の中にある便塊を探りながらそっとほぐすように動かし方をします。
ガスがゴロゴロ動き出す感触があれば効果が出始めています。
運動を促すケージから出して床の上を歩かせます。
歩きたがらない場合は、両手で体を包むようにしてゆっくり前後に揺らすだけでも腸に刺激が伝わります。
薬局で手に入る補助剤
人間用の乳果糖シロップ(デュファラックなど)は、モルモットにも安全に使えます。
体重100gあたり0.5mlを目安に、シリンジで与えます。
腸の中で水分を引き込んで便を柔らかくする作用があります。
パラフィンオイル(流動パラフィン)は昔から使われてきましたが、最近は肺に誤嚥する危険性が指摘されており、なるべく避ける方向です。
動物病院へ行くタイミングと準備
以下の状態が見られたら、すぐに病院へ急ぎます。
お腹がドラム缶のようにパンパンに張っている、歯ぎしりが止まらない、横になって動かなくなった、体温が37度以下に下がった。
これらはすでに重症のサインです。
病院へ行くときは、ケージごと毛布に包んで運び、途中で体温が下がらないようにします。
最近のうんちがあれば小さな容器に入れて持参します。
病院で行われる主な処置
まずレントゲン撮影でガスと便の位置を確認します。
ガスが胃にまで逆流している場合は緊急度が非常に高いです。
次に皮下または静脈への輸液で脱水を急速に改善します。
同時に腸の動きを回復させる薬(メトクロプラミドやシサプリド)と、痛み止め(メロキシカムなど)を注射します。
直腸に硬い便塊が詰まっている場合は、麻酔下で浣腸を行い、指や綿棒でそっと取り出します。
重症例への対応
腸が完全に機能停止している場合、数日間の入院が必要になることもあります。
鼻から胃チューブを入れて直接栄養と水分を入れながら、点滴と薬で腸を休ませ、再起動を待ちます。
幸いモルモットの腸は回復力が強いので、48時間以内に処置が始まればほとんどの子が助かります。
自宅に戻ってからのケア
退院後は少なくとも1週間は、毎日体重を測り、うんちの数と形を記録します。
病院で処方された薬は指示通りの日数まできっちり飲ませます。
再発を防ぐために、ケージ内の温度を常に24~26度に保ち、ストレスになる環境の変化は避けます。
便秘は一度起きると繰り返しやすい病気です。
しかし、適切なタイミングで適切な処置を行えば、命を落とすことはほとんどありません。
大切なのは、異変に気づいた瞬間から手を止めないことです。
うんちがつまりやすいモルモットにはどのような餌を与えると良い?
便秘を繰り返すモルモットにとって、毎日の食事は薬と同じくらい重要な意味を持ちます。
腸が弱い子に合わせた餌選びは、単に「繊維が多いもの」を与えればいいというわけではなく、繊維の種類や硬さ、水分量、発酵のしやすさまで考慮する必要があります。
牧草は生涯の主食として最優先
一番刈りチモシーは硬くて長繊維が豊富ですが、食いつきが悪い子も少なくありません。
その場合は二番刈りや三番刈りをメインにしても構いませんが、腸をしっかり動かすためには毎日必ず一番刈りを少しでも口にさせます。
オーツヘイやオーチャードヘイは柔らかくて香りが良く、食欲が落ちているときのつなぎとして非常に役立ちます。
ただし糖分がやや高いので全体の3割程度に抑えます。
メドウヘイやライグラスは発酵が穏やかでガスが出にくいため、ガス腹を起こしやすい子に向いています。
ペレットの選び方と量の決め方
便秘傾向の子には粗繊維20%以上の高繊維ペレットを選びます。
原材料表示の最初に「チモシー粉」または「牧草粉」と書かれているものが理想です。
穀物が最初にくるペレットは腸内で急激に発酵してガスを増やすので避けます。
与える量は体重1kgあたり大さじ山盛り1杯を上限とし、それ以上は牧草で補います。
ペレットを与えるタイミングを朝と夜に分けて少量ずつにすると、腸が常に軽く動き続ける状態を保てます。
野菜で水分と微量栄養を補う
便を柔らかく保つには野菜からの水分が欠かせません。
毎日体重の10%程度を目安に与えます。
特に有効なのは水分90%以上のレタス類(ロメイン、サニーレタス、リーフレタス)、セロリの葉と軸、パクチー、春菊、三つ葉です。
これらはカリウムも豊富で腸の筋肉を収縮しやすくします。逆に白菜やキャベツは発酵が強すぎてガスを増やすことがあるので少量にします。
にんじんの葉や大根の葉は繊維が細かくて水分も多く、便秘の子に特に喜ばれます。
果物は薬として使う
パイナップルやパパイヤ、リンゴにはプロテアーゼというタンパク質分解酵素が含まれ、腸内の粘液や毛を溶かす働きがあります。
便が硬くて表面に毛が絡んでいる子には週に2回、小さじ4分の1程度をすりおろして与えます。
キウイも同様の効果がありますがシュウ酸が多いので月に1~2回に留めます。
糖分が気になる場合は酵素のみを抽出したタブレット状のサプリメントを使う方法もあります。
水分摂取を増やす工夫
水飲みが極端に少ない子には、野菜を霧吹きでたっぷり濡らして与えます。
キュウリやズッキーニを薄切りにして冷蔵庫で冷やしておくと、夏場でもよく飲むようになります。
ハーブティー(カモミールやペパーミントを冷ましたものを水に2割混ぜると香りで飲水量が増えることがあります。
ただしカフェインを含むものは厳禁です。
腸内環境を整える補助食品
ラクトースフリーのモルモット用プロバイオティクスを毎日少量与えると、盲腸内の善玉菌が増えて発酵が安定します。
乾燥パパイヤの葉や乾燥タンポポの葉には天然のプレバイオティクスが含まれ、便の水分量を適度に保つ効果があります。
これらはおやつ感覚で少しずつ与えても問題ありません。
季節ごとの餌の見直し
冬場は部屋が乾燥して便が硬くなりやすいです。
その時期は野菜の量を1.5倍に増やし、牧草も柔らかめのものを多めにします。
逆に夏場は腐敗が早いので野菜は新鮮なものを少量ずつ、こまめに交換します。
気温が30度を超える日は氷を入れたペットボトルをケージに置いて体温を下げつつ、冷たい野菜で水分補給を促します。
一度便秘を繰り返した子は、腸が完全に元に戻ることはありません。
毎日の食事で腸に負担をかけない習慣を作ることが、再発を防ぐ唯一の方法です。
少し手間はかかりますが、その子の命を支える食事を整えることは、飼い主さんにしかできない大切な役割なのです。