
モルモットのストレス行動とは?
モルモットのストレス行動は放置しないほうがいい?
モルモットのストレス行動を見かけた時の対処法とは?
こんなモルモットのストレス行動に関する疑問についてご紹介いたします。
モルモットのストレス行動とは?
モルモットは感情がとても豊かで、喜びや安心と同じくらい、不安や恐怖もはっきりと身体で表現します。
その表現の仕方は人間とはまったく違うため、初めて飼う人には「ただの癖かな?」と見過ごされてしまうことが少なくありません。
しかし彼らが示す行動のほとんどには明確な意味があり、特にストレスを感じているときには決まったパターンでサインを出します。
ここではその代表的な行動と、それがどんな心の状態を表しているのかをできるだけわかりやすくお伝えしていきます。
動きでわかるストレス
モルモットが極度に緊張しているとき、もっとも特徴的なのは「フリーズ」と呼ばれる完全に固まる行動です。
体をできるだけ小さく縮め、耳をぺったり後ろに倒し、目を大きく見開いたまま微動だにしなくなります。
これは野生時代に捕食者から身を守るための本能で、「動いたら見つかる」と体が判断している状態です。
部屋が静かでも、知らない人が近くにいるだけでこの姿勢を取ることがあります。
逆に過剰に動き回るのも深刻なストレスのサインです。
ケージの隅から隅へ同じルートを何十回も往復する行動は「常同行動」と呼ばれ、一度始まると止まらなくなることが多いです。
また突然高く跳ねるポップコーンのような動きが、興奮ではなく不安から出ている場合は、着地した瞬間にまたすぐに跳ねる、という繰り返しになります。
落ち着きのない跳ね方は、見ていて可愛く見えても実は心が追いつめられている証拠です。
音で訴えるストレス
モルモットは普段とても静かな動物ですが、強いストレスを感じると急に大きな声を出します。
もっとも緊急性が高いのは「悲鳴」に近い甲高い叫び声です。
これは痛みや極端な恐怖を感じたときにだけ出る声で、聞いた人は誰でも驚くほどです。
もうひとつ注意が必要なのは歯をカチカチ鳴らす「チャタリング」です。 相手に対して「これ以上近づくな」と威嚇している状態で、耳を後ろに倒し、体を少し浮かせながら出すことが多いです。
この音が出たら、無理に触ろうとせず距離を取ることが肝心です。
見た目でわかる変化
ストレスが続くと、被毛の様子が明らかに変わります。
本来はつややかで整った毛並みが、急にボサボサになったり、ところどころ逆立ったりします。
さらに自分の体を過剰に噛んで毛を抜いてしまう子もいます。
お腹や背中、太ももの内側が薄くなってきたら、かなり深刻なストレスを抱えていると考えてください。
食欲や排泄の変化も重要なサインです。
モルモットは草食動物ですから、通常は絶えず何かを食べています。
それが急にチモシーを口にしなくなったり、ペレットを残すようになったら、ほぼ間違いなく心か体に問題が生じています。
また便が小さくなったり、軟らかくなったり、連なっていないものばかりになるのも、腸がストレスで正常に働いていない証拠です。
ちょっとした変化に気づくために
ストレス行動はひとつだけ現れることは少なく、たいていいくつかが重なって出てきます。
たとえば「隠れ家から出てこない+食欲が落ちる」「バー・バイティングをする+被毛がボサボサになる」といった組み合わせです。
だからこそ、毎日少しずつ観察して「いつものこの子」を知っておくことが何より大切です。
朝と夜の様子、食事の時間、寝る場所、好きな隠れ家の中での姿勢、こうした小さな日常の積み重ねが、いざというときの「いつもと違う」を気づく鍵になります。
モルモットは言葉を話せません。
でも彼らは全身で「今つらい」と訴えています。
その声をきちんと聞き取れるかどうかが、幸せに一緒に暮らせるかどうかの分かれ道なのです。
モルモットのストレス行動は放置しないほうがいい?
モルモットが示すストレス行動を「そのうち落ち着くだろう」と見過ごす人は、実はとても多いです。
でも残念ながら、それは命を縮める選択に直結します。
なぜ放置がいけないのか、どこまで深刻なのかを、きちんと知っておいてください。
ストレスは命を奪う引き金になる
モルモットはストレスに極端に弱い動物です。
人間や犬猫のように「我慢する」ことが苦手で、心が追い詰められるとすぐに身体が反応します。
特に腸の動きが止まりやすくなり、食べ物が胃や腸に滞ってガスがたまる「胃拡張」や「腸閉塞」を起こします。
これらは発症から数時間で死に至ることも珍しくない、モルモット飼育で最も恐れられる急性疾患です。
ストレスが続くと免疫力も急激に落ちます。
普段は問題にならない細菌やウイルスに感染しやすくなり、肺炎や尿路感染症を起こしやすくなります。
一度体力が落ちると治療しても回復が難しく、病院に連れて行ったときには手遅れというケースが後を絶ちません。
心の傷は簡単リハビリが難しい
一度定着したストレス行動は、環境を良くしても簡単に消えないことがあります。
ケージの柵を噛み続ける癖がついた子は、新しい大きなケージに移しても同じ行動を繰り返し、歯が欠けたり歯茎から出血したりします。
過剖に毛を抜く子も、ストレス原因を取り除いても癖が残り、皮膚炎を起こしてしまうことがあります。
また群れで暮らす動物なので、相性不良によるストレスが続くと、相手に対する恐怖心がトラウマとして残ります。
一度「この子と一緒だと怖い」と学習すると、再び一緒にしても落ち着かず、どちらも一生別々に暮らさなければならないケースも出てきます。
小さな体にストレスは蓄積する
モルモットは自分の弱さを隠そうとする動物です。
野生では弱った個体が真っ先に狙われるので、体調が悪くても普通に振る舞おうとします。
飼い主が「なんか変だな」と気づく頃には、すでに何日も前からストレスがたまっていたということがほとんどです。
見た目が元気そうに見えても、内側では限界に近づいているのです。
放置すると飼い主への信頼も失われる
モルモットはとても賢く、誰が自分を苦しめているかをしっかり覚えています。
騒音や無理な抱っこ、嫌がることを繰り返していると、「この人は怖い」と認識してしまいます。
一度信頼が崩れると、スキンシップを拒否したり、触ろうとするだけでフリーズしたりするようになります。
そうなるともう元の関係に戻すのは極めて難しく、残りの一生を怯えながら過ごさせることになります。
早めに対応すればほとんどが回復する
幸いなことに、モルモットのストレスは環境を変えれば驚くほど早く改善します。
静かな場所に移動してあげたり、相性の悪い子を離したり、隠れ家を増やしてあげるだけで、数日で食欲が戻り、毛艶も回復します。
放置しなければ、ほとんどの子は元の明るい性格を取り戻すことができます。
でも一度手遅れになると、どんなにお金と時間をかけても助からないこともあります。
ストレス行動は「今助けて」という小さな声です。
その声を無視するか、すぐに耳を傾けるかで、モルモットの未来がまったく違ったものになるのです。
モルモットのストレス行動を見かけた時の対処法とは?
モルモットがストレスを示しているとわかったら、まず深呼吸して落ち着いてください。
慌てて抱き上げたり大きな声を出したりすると、さらに恐怖を増してしまうからです。
ここからは、すぐにできることと、じっくり見直すべきことを順番にお伝えします。
まずその場でできる一番大事なこと
モルモットが安心できる環境を最優先で作りましょう。
ケージの上から薄手の布をかけて暗くし、周囲の音や視線を遮ります。
テレビや音楽は消し、他のペットや小さな子供は別の部屋に移動させてください。
モルモットにとって「今この瞬間が安全だ」と感じられることが、回復の第一歩です。
触りたい気持ちをぐっと抑えて、そっと見守ります。
無理に抱っこしようとすると信頼が大きく損なわれるので、少なくとも数時間はケージに近づかないで様子を見ましょう。
落ち着いてきたら、いつもの餌をケージの入り口近くに置いてあげます。 匂いだけで安心して食べてくれることも多いです。
温度と湿度を整える
モルモットは体温が下がると一気に体力が落ちます。
特にストレス時は24〜26度を保つようにしてください。
冬場ならペット用のヒーターをケージの外側に置き、一部だけ温かい場所を作ります。
夏場は直射日光やエアコンの風が直接当たらないように注意が必要です。
湿度は50〜60%が理想で、乾燥しすぎると鼻や目の粘膜が弱ります。
原因をひとつずつ探す
ストレスには必ず原因があります。 最近変わったことをすべて思い出してください。
新しい家具を置いた、掃除の頻度が変わった、同居モルモットの体調が悪い、部屋の模様替えをした、家族が増えた、など小さなことでも影響を受けます。
ケージの大きさと配置を見直す
狭いケージはそれだけで慢性的なストレスになります。
成獣一匹でも最低でも80×50cm以上、できれば100×60cm以上の広さが欲しいところです。
ケージが床に直置きだと振動や冷えが伝わりやすいので、台の上に置くだけで落ち着く子もいます。
隠れ家は必ず二つ以上用意してください。
一つの隠れ家しかないと、気に入らなくてもそこにしか逃げ場がなく、かえって緊張します。
入り口が二つあるトンネル型や、箱を二つ置くだけでも効果が違います。
同居している場合は相性を真剣に考える
多頭飼いでストレス行動が出ている場合、ほぼ間違いなく相性が原因です。
追いかけ回されている、寝床を占領されている、餌を横取りされている、といった小さなトラブルが積み重なります。
すぐに別々のケージに分け、それぞれに十分な広さを与えてください。
相性が悪い組み合わせは無理に仲良くさせようとせず、一生別居で暮らさせるのが一番穏やかな解決です。
病院へ連れて行く判断
次の症状が見られたら、すぐに動物病院へ向かってください。
12時間以上何も食べていない
便が出ていない、または水のような下痢が続いている
呼吸が早い、または鼻をぐしぐし鳴らしている
目が落ち窪んでいる、ぐったりして動かない
モルモットは急変がとても早い動物です。
「もう少し様子を見よう」が命取りになることがあります。
病院に行くときはキャリーバッグにタオルを巻いて暗くし、移動中も揺らさないように気をつけてください。
日々の観察が何よりの薬
ストレス行動が出たときだけ慌てるのではなく、普段から「今日のこの子はどんな気分かな」と観察する習慣をつけましょう。
朝一番でケージに近づいたときの反応、チモシーを食べる音、寝ている場所、歩く速さ、こうした小さな変化に気づけるようになると、ストレスが大きくなる前に手を打てます。
モルモットは飼い主の気持ちを敏感に感じ取ります。
焦らず、怒らず、静かに寄り添ってあげてください。
その優しさが、ちゃんと彼らに伝わるはずです。